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神戸大好き 明日のKOBEを創る会

過去の研修会

と き: 30年1月20日(土)
午後2時開会
ところ: 長田区役所・7F大会議室
講 師: 左:睡眠博士Mr.塀内さん
右:辻野医学博士
演 題: 1.「眠りのセミナー」スッキリ寝付けて、グッスリ眠れて、スッキリ目覚めるポイントとは。
2.「適寿いきいき健康ステーション」とは
 
 

2017年も残すところあと僅かとなりました。
明年も一杯勉強し、うん蓄を傾けましょう。

さて、このたびの新年研修会のテーマは健康です。健康的なからだをつくるには、栄養バランスのとれた食事、適度な運動、十分な睡眠が重要です。

今回は睡眠博士Mr.塀内による快眠をテーマに、また長田商店街に開設されました、いきいき健康ステーションより、辻野医学博士に来ていただき、「生活習慣、食事、運動」で健康寿命を延ばす秘訣をお話しいただきますので、皆様ふるってご参加ください。

健康寿命日本一の町神戸を目指し頑張りましょう。

<プロフィール>
1.塀内隆博(へいうち たかひろ)
1958年生まれ 徳島県出身

京都大学大学院修士課程修了後、松下電工(現パナソニック)入社。
本社研究所にて、物理刺激が生体に与える研究を通じて美容・健康機器の開発に従事。
専門は睡眠学。
特に光や温度・湿度などの生活環境や生活習慣が眠りに与える影響の研究を行っていた。

2015年にパナソニックを退社した後は、正しい睡眠知識の普及や啓蒙をする活動を行っている。

現在、名古屋市立大学大学院医学研究科 研究員。(睡眠学)
一般社団法人日本睡眠改善協議会 評議員
一般社団法人 まちかど健康づくりネットワーク 理事
MBA(経営管理修士:兵庫県立大学大学院)

2.辻野幸夫(つじの ゆきお)
医療法人社団康人会適寿リハビリテーション病院 副理事長
株式会社公文商会代表取締役
兵庫県在宅支援・地域支援センター協議会神戸包括代表幹事

京都大学大学院医学研究科修了(医学博士)

眠りのセミナー
塀内 隆博(高校社会科講師名古屋市立大学大学院医学研究員)

 皆様こんにちは。日本睡眠改善協議会の塀内と申します。まず、このような素晴らしい場を与えてくださいました北山順一先生に心より感謝申し上げます。さて、本日は「夢」についてお話しさせて頂きます。
 ルソーという方が描いた「夢」という絵があります。これに描かれているように夢は得体がしれない上に内容も訳の分からないものです。このように夢は摩訶不思議なものですから、科学が発達していない古の頃から、夢に関しては神秘的でユニークな解釈がされていました。本日はまず、古の人々にとって夢とは何だったのかお話しします。次に、科学の発達した現在、夢はどこまで解明されているのかをお話しします。加えて金縛りについてもお話しさせて頂きます。

古の人にとっての夢

1. 神代の時代の夢
 古事記や日本書紀が書かれた神代の時代、夢は神から与えられるものと考えられていました。神から与えられていますから、あの世とこの世を繋ぐ神聖なものでした。だから現代では考えられないくらい大事なものですので、それを人間が勝手に解釈してゆがめるなどは罪でした。だから夢の内容をその通り、そのまま受け入れるのです。
 古事記にはこんなことが描かれています。第10代崇神天皇(ミマキイリヒコ)の時代、疫病が蔓延して沢山の人が死んでしまいました。天皇はそういう状態を非常に憂いておられました。ある時、夢の中で大物主神(オオモノヌシノカミ)という方が現れて「オオタタネコという者に私を祀らせなさい。そうしたら国は平穏になりますよ。」と言いました。天皇はさっそくオオタタネコという人を探せとお触れを出した。そうしたら河内の国にオオタタネコという人がいました。その人に大物主神を祀らせたら実際に国が平穏になりました。
 このように、この時代においては夢は神からのお告げですから、夢を一言一句たがわず実行します。それによってめでたくいい世の中になると信じられていたわけです。それが神代の時代です。
2. 平安時代の夢
 これが平安時代になると変わってきます。夢は神仏から与えられるもの、というところは一緒ですが、単なるお告げではなく、夢に見たことは実現するのだと考えるようになってきます。将来実現するのですから、夢を解釈して将来に備えなければならないと考えるのです。そうなるとそれを職業にする人が出てきます。「夢合わせ」「夢解き」とかいわれる夢占いの専門家ですね。宇治拾遺物語や更級日記にはこういった人達のことが出てきます。このことから、平安時代にはこういう夢占いがかなり普及していたということがよくわかります。それにしても、現代でもテレビや週刊誌で夢占いのことを見聞きしますが、こんな頃から続いているんですね。でも、後でご説明しますが、夢占いには何の意味もありません。お楽しみに!
3. 室町時代の夢
 時代が進んで室町時代になると、初夢を大事にするようになります。つまり「初夢は年始に見るのだから、一年の吉凶を占うものである。ならば初夢はいい夢を見ないといけない。」ということになるのです。多くの人が「いい夢を見たい」ということになってくると、それをビジネスにする人が出てきます。具体的には、宝船に七福神が乗っている有り難い絵を描いた御札を枕の下に置いて寝る。そうするとよい夢が見られますよ、1枚いかが、というわけです。絵柄も元々は普通の船だったのですが、やはり宝船の方が有り難いですから、こちらのほうに変わっていったのです。
 同時に、この御札には回文というものが書かれています。文の前から読んでも後ろから読んでも、同じ読みになるようになっているものを回文といいます。有名なものに「長き夜の 遠の眠りの 皆目覚め 波乗り船の 音の良きかな」というのがあります。昔は濁音を付けませんでしたので、それでこれを読むと「なかきよのとおのねふりのみなめさめなみのりふねのおとのよきかな」です。どちらから読んでも同じですよね。こういった回文は非常にめでたいもの、有り難いものとされていました。有り難い宝船に有り難い回文が加わって、ますます有り難味が加わって、ますます御札が売れるようになります。これは最初、上級武士や貴族の世界での話だったのですが、このように広がっていくと庶民にも徐々に広がっていきます。本格的に庶民の間に広がっていったのは江戸時代になってからです。
 ところが、お金まで出していい夢を見たいといっても、そうは問屋が卸さないのが夢というものです。いやな夢を見てしまいます。その時にはどうするか。川に行って流します。「いやな夢は流れていった。悪い夢は去った。よかった、よかった。」というわけです。縁起直しですね。時代とともに、現代の我々がやっていることに近づいてきていますでしょう?
4. 江戸時代の夢
 さらにこれが江戸時代には、現代とびっくりするくらい似てきます。基本的には室町時代と一緒ですが、その文化の担い手が違います。平安時代は貴族だった。室町時代は武士だった。江戸時代の文化を担ったのは町人です。江戸時代になると、町人が文化を担いました。この時代の人々、特に江戸っ子は駄洒落が大好きでした。例えば、良い夢としては「一富士、二鷹、三茄子」が有名です。富士は不死(長寿)、鷹は高みに上る(出世)、茄子は何かを成す(出世)です。これには続きがあります。「四扇、五煙草、六座頭」です。扇は末広がり(子孫繁栄)、煙草は煙が上る(出世)、座頭は毛がないから怪我無い(息災)です。駄洒落で遊んでいますね。
さらに観光も流行しました。法隆寺に悪い夢を見てもその観音様をお祈りすればよい夢に変えて下さるという夢違観音があります。元々はそういうお名前ではなく、単なる「観音菩薩立像」だったのです。なのに、この観音様にお祈りすれば…と言い出した結果、お名前を変えられてしまいました。観音様の大切なお名前を変えてしまうとは!まさに民間信仰、恐るべし!ですね。御札を使っていい夢を見よう。悪い夢は流してしまえばいい。それでも駄目だったら、観音様におすがりすればいい。昔の人はあの手この手を考えたものですね。
 以上、時代と共に「夢」に対する考え方がどのように変化してきたかお話ししました。社会的背景や文化的背景があって、夢に対する考え方があったということがお分りいただけたかと思います。

現代科学が解き明かす夢

1. はじめに
 では、現代の科学は夢をどこまで解明しているのかお話しします。夢に対する疑問としてよく挙げられるものとして、「そもそも、なぜ夢を見るのか?さらに、目をつぶっているのに何で見えるのか?何故嫌な夢を見てしまうのか?」があります。実は一晩のうちに我々は多くの夢を見ています。ところが、全部忘れているのです。せいぜい覚えていても、自分が目を覚ます直前の夢です。なぜなら、後でお話ししますが、夢を見る中心的役割を果たす脳の前頭前野には記憶する力が無いからです。ですから、もしも1晩に3つ夢を見たというのであれば、就寝から起床までの間に少なくとも3回、目が覚めて夢の内容を記憶領域に送っていたということになり、良くない睡眠状態だったということが判ります。さらに、夢の内容をものすごく具体的に話せる方がいます。実は、それだけ眠りが浅いということです。浅いから具体的に話すことができる。実は眠りが深かったら、目が覚めてぼうっとしている間にすべて忘れてしまいます。ですから、「夢なんて一つも見ませんでした」という方は、最高の睡眠状態だったということの証明です。勿論、人間には体の調子のいい日・悪い日がありますから、夢を見る日もあれば見ない日もあります。これが正常です。
2. 「物を見る」メカニズム
 まず、物を見るメカニズムからご説明します。外界の情報は目の網膜で神経に送られる情報信号に変換されます。この情報信号は視神経を通って後頭部にいったん送られます。だから、何かの拍子に後頭部をガツンとぶつけると、目の前に火花が飛んだり目の前が真っ暗になりますでしょう。それは、視覚情報が入っている後頭部に衝撃が伝わることで、信号伝達が一瞬混乱するためです。その瞬間、脳が情報を処理できなくなって真っ暗になる。オデコをゴツンとやられてもそんなふうには真っ暗にはなりません、なったら意識がぶっ飛んだということになります。
 さて、情報が後頭部の視覚野に送られた後、情報は分解されます。色に分解されたり、形に分解されたり、その他もろもろです。分解された状態で額の前頭前野に送られてきます。そこですべての情報が統合されて処理されます。その処理をしているときにはまだ「見えた」ということにはなっていません。「今、何か映像の情報が来たぞ」ということで、記憶をつかさどる側頭葉に「昔、お前こんなもの見たことあるか?」と質問が行きます。もうひとつ、扁桃核に「お前、こんなもので怖い思いしたことあるか?楽しい思いしたことがあるか?」等の質問が行きます。この質問に対して側頭葉や扁桃核から回答が戻ります。このように、過去の記憶と照らし合わせた上で情報処理され、初めて「見える」ということになります。結構複雑なプロセスですよね。
 このように、単に物を見るということだけでも結構頭を使っています。だから、皆様方、眠れなかった時にどうすればいいかというと、無理に眠らなくてもいいのです。目をつむるだけでいいのです。目をつむると、こんなややこしいことを脳がしなくていいので、脳はかなり休むことができます。それだけでOKです。乱暴な言い方で恐縮ですが、眠らなかったからといって人は死にません。学会報告では、それで無くなった方というのは過去に一例もない。勿論、不眠の結果、糖尿病などの持病が悪化して調子が悪くなったということは一杯あります。なので、そういう時には持病の治療を行なうことが最優先です。
3. 目をつむっていても「見える」メカニズム
 目から送られてきた情報信号を脳が処理するときに、過去の記憶といろいろ対比しているということをお話ししました。ところが、この過去の記憶と統合する情報処理の段階でズレが生じると、無いものが見えたり、有るものが見えなくなったりします。皆様、こんな経験がありませんか?「めがねを普段置いている所とは異なる所に置いてしまった。一所懸命探しているのに見つからない。めがねが無いと子供に言ったら『目の前にあるじゃん!』と言われた。よく見たら本当に目の前にあった!私、ボケたんだろうか?」
 これは、こんな所にめがねを普段は置かないという記憶と、実際にめがねを目の前に見ている視覚情報とがぶつかり合った結果、見えているはずのめがねが見えなくなってしまったということです。このような事例は他にも多々あります。有名なものは「錯覚」ですね。「だまし絵」や「手品」はこの錯覚を巧みに使ったものです。このことから、目で見ている視覚情報は重要な参考情報に過ぎず、いざとなれば目で見えなくても見えるということが判ります。つまり「見る」のは目ではなく脳であるから、目をつむっていても「見える」ことになるのです。
4. 神代の時代の夢を見るメカニズム
 眠っている時、脳はどうなっているのかというと、目をつむっているのですから当然視神経から視覚情報は行きません。しかも寝ていますから、信号処理をする前頭前野も活動がぐっと落ちてきます。でもほんのちょっとだけ起きています。脳というのは非常に働き者です。ほんのちょっと起きている前頭前野が、新しい信号処理をしなくなっていますので、止めておけばいいのに過去の記憶を調べろとランダムに命令します。輪をかけて真面目な働き者が側頭葉と扁桃核です。休むということをほとんど知りませんから、命令に対して真面目に返してきます。一方で前頭前野はほとんど活動していないのに、返ってきたものを適当に情報処理してしまいます。挙げ句の果てに「なにか見えた!」と言います。それが夢なのです。
5. 楽しい夢と怖い夢
 このようにして見えるのが夢なのですが困ることがあります。前頭前野からの命令に対応する扁桃核は感情を司っています。よく理性で感情をコントロールしましょうなどと言いますが、無理ですよね。感情が先に立ちます。感情で「こいつ嫌い!」と思ったヒトを理性で好きになるなんて無理です。扁桃核は、大脳の理性的な判断をするところとは違うところに存在しているからです。「嫌だ」と思って、コントロールできるとしたら、それを表に出さないことくらいです。このコントロールできない感情の中で、一番優先されるのは恐怖です。
 今でこそ我々はこんなに平和ですけれども、本来荒野で生きていた生き物です。人間は牙も弱いし力も弱い。危険な目に遭って怖い思いをしたのにそれを忘れたらどうなるか?今回は運良く逃げることが出来たとしても、次に同じことが起きたら殺されてしまうかもしれません。同じ手でやられないためには過去の恐怖を忘れてはいけません。だから、皆様方も昔々の怖い体験は鮮明に覚えているでしょう。扁桃核がしっかり恐怖に関連づけて覚え込んでいるからです。
 逆に、一番弱いのが喜びです。喜んでも今日明日の生き死にには関係がありません。だから生存する上では、忘れてしまっても問題は小さいということになります。よく、結婚記念日を忘れてしまった旦那さんが、奥様から叱られたりしますよね。喜びは忘れやすいのです。これ、別に旦那さんを弁護しているのではありませんよ、念のため。もしかすると、しっかり叱られて恐怖を感じると二度と忘れなくなるかも。しかしその場合の夫婦仲は、う〜ん。まぁ、睡眠と関係ないので横に置いときましょう。
 結局、恐怖や怒りに関する情報のほうが楽しい情報より数多く記憶されていますから、思い出しやすいということになります。楽しい夢が少ないのはそのためです。
 ところで、楽しかった夢は忘れやすいですが、怖い夢(悪夢)は覚えていますね。前頭前野は非常に高度な情報処理をして夢を創り出すところなのですが、欠点があります。記憶するという機能がありません。ですから、見た夢をすぐに忘れてしまいます。ところが、忘れて行っているのに、扁桃核の方に夢の情報が送られてしまうことがあります。扁桃核は、情報に意味づけして記憶しているところです。恐怖、怒り、喜びの順で優先順位付けして記憶しています。最優先は恐怖です。だから恐怖に意味づけする。目が覚めてからも怖かった夢は何度も思い出しますよね。そうして人に言ったりする。人に言ったらますますイメージが明確になります。そうなってきたら、情報が長期記憶の方に送られていくので悪夢がなかなか忘れられない。悪夢というのは、人に言う必要はありません。人に説明したらその分、記憶に定着していきます。逆に楽しかった夢はできるだけ人に喋る方が、記憶に定着します。お好きな方をお選びください。
6. レム睡眠とノンレム睡眠
 眠りというものにはレム睡眠とノンレム睡眠の2種類があります。レム睡眠というのは体を休めるための睡眠です。我々は日中起きている時に体を使いますから、どうしても体を休めないといけない。だから、レム睡眠というのは原始的な睡眠です。レム睡眠は脳を休めるためではありません。とはいっても寝ているのですから脳の活動レベルは低い。その間に、前に申しましたように、脳がごちゃごちゃといらんことをやっています。その時に夢を見ています。皆様方が見ている支離滅裂ながらもストーリー性のある夢はこのレム睡眠の時に見ています。そうして、先ほども申しました通り、覚えているのはレム睡眠の間に一杯見ている夢の最後のひとつです。
 レム睡眠の大きな特徴として、腕や足、全身の筋肉、つまり随意筋は完全にマヒするということが挙げられます。なぜそうなるのかというと、体を休めるだけで無く、自分の体を守るためです。
 普通、夜寝ていて、怖い夢を見て防御をしよう、あるいは相手を攻撃しようとしても、実際に体は動かないですよね。だから皆さん平和に眠ることが出来る。これ、夢の中の通りに体が動いたら怖いですよね。おちおち寝てなんかいられない。でも、動いてしまう方もおられます。レム睡眠行動障害という病気の方がいるのですが、夜寝ていて、怖い夢を見て防御をしよう、あるいは相手を攻撃しようとすると、体が動いてしまうのです。通常であれば、体は完全に弛緩しているから動きません。でもこの病気の患者さんは体が動きます。自分の意識はないのに隣で寝ている人、例えば奥様が敵に見えます。そうして全力で攻撃してしまいます。アメリカではこれで殺人事件が起きたことがあるそうです。
 もうひとつ、レムじゃない睡眠がノンレム睡眠です。頭を休めるための睡眠です。頭を休めるのですから脳の活動は非常に低くなります。だから、ストーリー性のある夢などは見ていません。ノンレム睡眠の時にたたき起こすと非常に機嫌が悪いのですが、なだめすかして「今どんな夢見てた?」と聞くと、イメージを言います。「赤いものがちらちらしていた」とか、そういうものですね。それも夢と言えば夢なのかもしれませんが、普通の我々の常識で言うストーリー性のある夢ではない。そういう意味合いで、ノンレム睡眠の時には夢は見ていません。勿論、「いや!ストーリー性なんか関係ない!これも夢だ!」という立場を取れば、レム睡眠・ノンレム睡眠関係なく夢を見ていることになります。ちなみに、ノンレム睡眠の時はレム睡眠と異なり、体の筋肉は動きます。だから寝返りをうちます。
7. 睡眠の周期性
 このようなレム睡眠、ノンレム睡眠ですが、周期性(リズム)があります。我々が眠りに入ると、まず深い眠りであるノンレム睡眠に入ります。脳を休めるわけです。その後に眠りが浅くなって、今度は体の眠りであるレム睡眠になります。その後にまたノンレム睡眠、次にレム睡眠と、交互に繰り返します。そうして朝おはようと起きてくる。
 この周期性については皆さん、最近よくご存知になってきたようですね。しかし、間違いが多くあります。一番よくある間違いは、「一周期が90分ですから、90分の倍数で起きればその時はちょうど眠りが浅くてすっきり起きられます」などというものです。これ、数字で表現されてしまったコトに基づく誤解です。数字で表現する時の怖さですね。この周期性ですが、実際には90分の人もいるし120分の人もいます。人によって違って当たり前ですね。顔が違うのと同じで脳も違いますから、周期も違います。また、同じ人でも寝入りっぱなと朝方では周期が変わります。90分の倍数などということに惑わされず、ご自分にとって最適な睡眠時間をみつけてください。
8. 睡眠負債
この最適睡眠時間を見つける最も手っ取り早い方法は、お休みの日、何時間寝たら満足して起きられるかでわかります。勿論、お布団の中でグズグズしている時間は除きます。この時の睡眠時間がその方の最適睡眠時間です。
 ところが現役で働いていると最適睡眠時間をとることは困難です。本当は7時間寝るのが最適な人でも、6時間で起きないと仕事に遅れてしまう。その短い1時間の睡眠不足の積み重ねのことを、最近流行の言葉で睡眠負債と言います。昨年の流行語大賞にノミネートされました。睡眠負債というのはわずかずつの睡眠不足が借金のように積み重ねられた状態のことです。この借金、誰から借りているかというと神様からです。借金は返さないといけません。踏み倒してはいけません。神様の借金を踏み倒したらどうなるかというと「わかった、お前の命をかたにもらおう」ということになります。だから睡眠不足の方は割と早死にします。神様の取り立ては容赦がありません。気を付けないといけません。ですから、お休みの前日は夜更かしせず、睡眠時間を確保して借金を返済するようにしてください。
なお、睡眠というのはやっかいなモノで、借金は出来るけれども貯金することはできません。いわゆる「寝溜め」ですが、これはできません。単に翌日からの睡眠を悪化させるだけですから、これはやらないようにしてください。
9. 夢の中身分析
 既に夢を見るメカニズムについてお話ししましたので、その夢の中身について触れておきます。例えば、「私はおばあちゃんのことが大好きです。なのに、なぜか私がおばあちゃんをナイフで刺し殺すというとんでもない夢を見てしまいました。」ということが起きたとしましょう。昔フロイトという方がいました。フロイトだったら「深層心理においては実はあなたはおばあちゃんを憎んでいたのです。それが夢の中にあらわれたのです」と言うでしょうね。夢を分析するわけですから。
 近代科学においては、こういうことを絶対に言いません。既に述べました通り、夢とは活性度の落ちた脳が過去に認識記憶した断片を行き当たりばったりに組み合わせ、脳の中で視覚化したものです。行き当たりばったりですから、意味はありません。ですから、夢を分析するなんていうことは無意味です。
 考えてみると夢分析は科学が未発達だった平安時代から行なわれてきたんですね。それが脈々と生き続いている、というのは、いかに「夢」というものが私たちに身近なもので、心に影響をあたえるものであるのかを示しています。でも、今は科学が発達して夢の正体も明らかになってきています。迷信におさらばすべき時が来ているのではないでしょうか。

金縛りについて

 次に金縛りですね。金縛りの経験がある方もおられると思います。金縛りというのは、具体的にはどういうものかというと、体を全く動かすことができなくなって、胸の上に何かが乗っかっているような息苦しさを感じる。更にはお化けがこっちを見ているような気がする。場合によっては、幻覚が見えたり幻聴が聞こえたりすることもあります。業界用語では睡眠麻痺と申します。
 通常は眠りに入るとまず脳を休めるノンレム睡眠に入ります。ところが心の状態・生活リズム・ホルモン等の乱れがあると、ノンレム睡眠をとばしていきなりレム睡眠に入ってしまうことがあります。この時、金縛りが発生します。
 寝入りっ端ですから脳の活動は充分低下していません。でもレム睡眠は体を休める睡眠ですから随意筋は完全な麻痺状態になり、体は全く動きません。脳はパニックを起こしますから息が苦しくなります。脳が「大変だ!体を動かさなきゃ!酸素!酸素!」と思っているのに、呼吸は安らかな状態のままだからです。脳はますますパニックになります。そうすると、脳はまた過去の記憶を調べ始めます。過去に似た記憶がないか?とね。扁桃核はすぐ怖い記憶から順番に出してきます。脳は記憶に基づいて恐怖を視覚化します。これが金縛りのメカニズムです。
 しかし、金縛りのメカニズムをご理解いただいたとしても、金縛りに悩む方の解決には至りません。「よくわかりました、でも私はどうしたらいいのですか?」ということになってしまいます。金縛りの原因は、心の乱れ、生活リズムの乱れ、ホルモンの乱れにあるからです。
 となると、症状を改善するためには原因になっている心の乱れ、生活リズムの乱れ、ホルモンの乱れを改善しないといけません。これは残念ながら睡眠学の人間だけでは解決できません。例えば、ホルモンの乱れならば心療内科での処方が必要なものが結構あります。あるいは悩みの内容が法律の問題であったり、借金の問題などでしたら、相談すべきは弁護士さんですね。悪夢で悩んだり金縛りで悩んだら、その原因となる分野の専門家に相談してください。

本日のまとめ

 さて、最後に本日のまとめをさせていただきます。まず、ストーリー性のある夢はレム睡眠の時に出てきます。夢は、脳の側頭葉や扁桃核の記憶が過去の感情などとともに前頭前野に送られたものを、前頭前野が行き当たりばったりに統合したものです。恐怖や怒りの記憶は強いので嫌な夢や悪夢を見ることが多くなります。さらに、心や体、生活の乱れがあると、睡眠の周期性が狂い、金縛りが出てきます。夢占いは太古から行なわれていてポピュラーなモノですが、全く意味がありません。困ったときはそれなりの専門家に相談してください。そしていい夢を見てください。可能なら夢も見ない良い眠りをどうぞ。
 本日はどうもありがとうございました。

「適寿いきいき健康ステーション」
辻野 幸夫(適寿リハビリテーション病院副理事長)
無料で健康チェック

 長田神社前商店街にある「適寿いきいき健康ステーション」のご紹介をさせていただければと思います。病気にならないために工夫をするということで、医療法人社団康人会適寿リハビリテーション病院とか、宮川の適寿クリニックとか、丸山地区を含めて訪問看護、訪問介護などの仕事をさせていただいております、辻野と申します。よろしくお願いいたします。
 今、お座りいただいている隣近所の方と「今日、膝が痛いねん」とか「ご飯食べられへんねん」とか「昨日眠られへんかった」とかいう風にお話しすることがありますでしょう。誰かに相談というか何かを言うことによって気が楽になります。そういうことを、専門的なことも含めて皆さんにいきいきしていただこうということで健康ステーションをやっています。
 「適寿いきいき健康ステーション」の場所ですが、長田神社の鳥居をくぐって橋を渡っていただいて、総菜屋さんの横にあります。なぜ作ったかというと、健康問題は高齢者だけではありません。子供から高齢者まで、長田に暮らす皆さんの不安や心配事をなくし、健康で活力ある商店街を皆で作っていくために、くつろぎの広場というものに重点を置いて作りました。くつろぎの広場でいろんなことを皆さんとともにやっていけたらと思っています。
 では何をやっているのか、どんなサービスを提供しているのかというと、基本的には無料でやっています。皆さんが健康になると病院やクリニックに来なくなって医療関係者は損をすると思われるでしょうが、そうではありません。やっぱり皆さんなんらかの病気をします。そういう時に、早く来てもらえれば軽くて済みます。自分だけではわからないことがたくさんありますから、軽いうちに専門の所に来てもらいたいというのがもう一つのポイントです。
 暮らしの相談ということで相談員が常駐しています。なんでもけっこうです。心配事を解消する手助けをさせていただけます。特に「イキイキ生活ご支援」として、一番重要なのは「食べる」ということです。欧米ではご飯を食べられなくなったら尊厳死ということですが、日本では食べられなくなっても胃ろうやチューブを突っ込んだりで、国によって思想などいろいろ違うから一概に言えませんが、皆さんが生きていくにおいては口からご飯を食べるというのが一番重要だと思います。やはりおいしいものを食べたいですからね。
 次に大事なのは、食べたらやっぱりちょっとくらい運動してよということです。少々膝が痛いとか、眠たいなと思っても皆さんが今日ここに来られるということは、健康なのです。運動が必要です。そして、食べたものをおしっこやウンコにして出していく。排泄ですね。そうして最後に睡眠です。今日は睡眠ということで悪夢や金縛りという、普段聞けない話を聞いていただいたと思うのですが、やはり眠りは大事です。そうした生活のご支援をさせていただきます。

地域コミュティーの核として

 もうひとつは「いきいきコミュニティー」ということで、今日も隣近所の方と連れだって来たりという方がおられるでしょう。そういう意味で、地域のコミュニティーということで、健康の話をお茶を飲みながらしようと「いきいきカフェ」というのをオープンしています。こちらは無料ではなく100円です。何時間いていただいても結構です。
 もうひとつ、食べる、運動、排泄、睡眠の知識を付けるのはいいのですが、自分の状態を知っていただくためにセルフ健康チェックというのをやっていただいています。血管推定年齢を測定しています。血管年齢を推定する機械、医療用の精度のよい血圧計、体組成測定器、この三つで測れば運動するとか食べるとかに関するデータが大体出てきます。一番大事なのは一回測ってみることです。そして次にそれを継続していくと自分の状態を把握していくことができます。そういう意味で、毎日気軽に自分の体の状態を知っていただくために、測定をして健康増進に役立ててください。他にも認知症の簡単なテスト、肺年齢、足の裏の状態などをこれからどんどんやっていこうと思いますので、のぞいていただければと思います。
 そして、三つの健康チェックで何がわかるかですが、ひとつめの体の成分を図る装置、体組成測定器では、体重を構成している水分、それからタンパク質、ミネラル、脂肪を測れます。それらを足したものが体重になります。そしてそれらは食事に思いきり影響をうけます。その状況を見た上で体重が適切かを判断する。筋肉量とか脂肪量、そしてそれらの筋肉や脂肪がどこについているかも測定器で瞬時にわかります。右足が痛くて左足で歩いている人は左足に筋肉がついて右足の筋肉は減って行っている。そういう時に右足も動かさないとどんどん歩きにくくなっていく。
 二つ目の血管推定年齢は、測定するところに指を入れて、血管の状況を見ています。一般的に血管というと動脈硬化の進展状況が推測されます。血管に脂肪がついているとか、繊維が沈着してきた、カルシウムが沈着してきたということがある程度わかります。そして10代はこれくらい、30代はこれくらいというのと比べれば自分がどれくらいの位置にいるのかがわかります。
 最後に血圧ですね。皆さんご自分で血圧計をお持ちの方もおられるでしょう。血圧は、一日の中で変動しますし、また年齢によっても変わります。せっかく血圧計を皆さんお持ちなので、血圧計の種類によっても測り方によってもものすごく数値は変動します。だから、普段自分たちが持っている血圧計で数値が一定かどうかを見てほしいわけです。なんだかばらついているという時には私たちのところに来ていただいて、普段測っている血圧と違いがあるかを見るだけで健康に近づくことができます。
 もう一つは、おうちで測る場合は上が135、下が85未満であれば大丈夫ですが、お医者さんでは上が140、下が90未満であれば大丈夫です。どうしても緊張して少し上がります。また、低血圧は上が100以下、下が60以下です。そういうことを知っていただくのが大事です。もうひとつ頭に入れておいていただきたいのが、上と下の差です。上140、下90だったら差は50です。それを脈圧というのですが、正常範囲が40〜60です。上下差が大きく80〜90になると動脈硬化が疑われます。
 これらの三つの機器で測れることで、血圧は毎日測っていただいて、残り二つは月に1回なり測っていただいて、測定時間も1分以内ですしいきいき健康ステーションには看護婦さんもいますので、指導してもらえます。

セミナーなどイベントを開催

 ステーションは去年10月11日にオープンして、オープニングイベントとしてセミプロの落語家の方に健康落語をしてもらいました。さらに塀内先生に第1回の眠りのセミナーをしていただきました。その後、先ほどあった三つの健康チェックを体験していただくというのがオープニングイベントでした。
 次に11月25日3回目の快眠セミナーです。この回は、知識を付けていただいた次のステップの体験まで行きました。眠りによい食べ物を1時間ほど講義いただきまして、お隣の総菜屋さんに快眠にいい食事を作っていただいて、それをこのいきいき健康ステーションの中で食べていただきました。
 1月13日にはオープニングイベントで人気だった健康落語をもう一回やっていただきました。この回もかなりの方に来ていただきました。次に国際コンクールで金賞をとった音楽家の方を二人お招きして皆で唱歌を歌いました。参加された方々が「長田神社前合唱団」を作りたいと検討されているということです。
 私たちが食べる、運動、お通じ、睡眠がなぜ得意かといいますと、丸山地域にあります適寿リハビリテーション病院というのが、食べる、運動、お通じ、睡眠をしておうちで暮らせるようになってもらうという病院だからです。私たちが持っている知識や体験を継続できる仕組みを皆さん方に知っていただいて、おうちで安心して暮らせるように支援していきたいと思っています。こういった観点から色々な研修やセミナー、体験できる工夫などをいたします。お散歩会も作りました。いつも20〜30人くらいで丸山からしあわせの村まで歩いて帰ってきます。平均年齢が70後半から80歳です。やはり健康が一番です。おいしいものを食べてみなとワイワイできるというのは幸せですから、そういう幸せを勝ち取るために楽しく努力できるようにしたいと思います。
 この会に来られるような意欲のある方というのは認知症になりにくいです。努めて足の裏を刺激して、目で見て人の話を聞いて頭で考えてということをしていると認知症になりにくいです。今度、臨床美術入門のセミナーがあります。私たちの病院の公文恵美さんという方が臨床美術士の資格を持っています。心の中で思っていることを考えながら描きます。心の中で考えていること、表現したいことをそれぞれ皆さんお持ちだと思います。それをありのままに描いて、自分の想いを伝えていくというのを臨床美術と言います。特に認知症の方がそれをすると、非常に鮮やかな色が出てきたりとか、同じリンゴでも全然形が違ってきたりとか、そういう表現をしていくことでいろいろな脳の活性化ができる。その入門編ということで一回やってみることにしました。講義と簡単に絵を描くことをやります。同時に話を親身になって専門スタッフに聞いてもらったり、参加された方同士でお話をされたり、三つの健康チェックの結果もコーヒーを飲みながら話し合えます。利用していただければと思います。ぜひ一度お立ち寄りください。どうもありがとうございました。


 
     
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