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神戸大好き 明日のKOBEを創る会

過去の研修会

第145回研修会

と き: 30年3月24日(土)
午後2時開会
ところ: 長田区役所・7F大会議室
講 師: 神戸市長 久元 喜造
演 題: 30年度の神戸市の予算案について
 
 

第145回研修会のゲストとして久元喜造神戸市長をお招きしました。

2期目がスタ ートした久元市長が目指すのは「若者に選ばれるまち神戸」の創生です。
神戸の魅力をどう引き出し若者にアピールしていくのか手腕が問われます。

新年度予算案では、子育てと教育レベルでの日本一、介護日本一の実現、特に子育て支援では、保育所等の定員を 1,600 人増やし、待機児童の解消を図ることを挙げております。

長田区の活性化においては、JR 新長田快速停車の実現と東口改札の復活です。

また、増加する空地・空家の調査に基づいた活性化対策の予算化、丸山地区では道路の拡幅工事を行い山麓線や長箕線への大型バス往来を可能にしていただきたいと考えております。

久元市長は、「今、神戸は新しいステージに立っている」、神戸は確実に勢いを取り戻そうとしていると高らかに宣言されております。

久元市長の胸をすくようなお話をいただきますので、皆様ふるってご参加ください。

【略歴】
久元喜造神戸市長
神戸市兵庫区に生まれる。
東京大学法学部を卒業。自治省に入省。
総務省自治行政局長、神戸市副市長を経て、2013年10月27日の神戸市長選挙で当選。
神戸開港と神戸の発展

 皆さんこんにちは、神戸市長の久元喜造です。今日は145回目の研修会にお招きいただきありがとうございます。前回は1年位前ですね、1年の間に神戸がものすごく大きく変わったという訳ではないかもしれませんが、それでも新しく前に進んだ仕事もあります。そういう仕事を前に進めるときに、やはり神戸の歴史というものを折りに触れて振り返るというのが大事だと思っています。
 去年は開港150年の年でした。1868年1月1日に神戸が開港し、そして同じ1868年7月12日に兵庫県が出来て、伊藤博文公が初代兵庫県知事になられたわけです。今年は県政150年の記念すべき年ですので、歴史を振り返るということも大事と感じています。神戸港が開港しまして外国の方々が入ってくるわけですが、決して平穏ではありませんでした。当時はまだ幕府と新政府軍の間で戊辰戦争が起きていました。そうした中で勃発したのが神戸事件です。
 1868年1月1日に神戸港が開港した直後に起きた事件です。岡山備前藩の藩主が神戸の三宮神社を通過していた時に、行列の前を外国人が横切るわけです。「不届き者!」という訳で、備前藩の砲兵隊の隊長が槍を投げて怪我をさせてさらに発砲しました。これに駐留している外国の人たちが怒りました。一時はイギリス、フランスが神戸に上陸して占拠するなど大変なことになりました。出来たばかりの明治政府がその事態収拾に当たり、そして滝善三郎を神戸のお寺で切腹させる。それを外国の公使が見守る。外国の公使が見守って切腹したのは初めてのことだったのですが、そのような事件も起きて、不穏な中での神戸の国際港としての歴史が始まっていったわけです。
 その後神戸はたちまち日本の近代化をリードしていきます。その頃、日本をリードする大都市は6つありました。江戸改め東京、京都、大阪、長崎。そしてあとの二つは横浜と神戸です。幕末に港を開いた5つの町、函館、新潟、横浜、神戸、長崎の中で横浜と神戸が抜きんでた存在になって、東京以下6大都市が日本の近代化をリードしていきました。神戸もどんどん発展していき、川崎造船所では潜水艦まで作られ、造船や重化学工業、食品産業が伸びていきました。そして神戸は一時は人口が100万人を超えることになりました。しかし、1945年の神戸大空襲で焼け野原になり、神戸の人口は38万人まで激減したとも言われております。戦後はまたどんどん発展していきます。さらに、原口市長、宮崎市長の元で「山、海へ行く」というようなプロジェクトをどんどん進めて、神戸は日本の中の自治体経営のモデルということで、名が轟きました。神戸はものすごい存在になっていくわけです。しかし1995年に阪神淡路大震災が起きます。長田も非常に大きな被害を受けました。そしてさらにそこから神戸は蘇ってきたということです。震災からそんなに時間がたたないうちに神戸は復興したというのが私たちのこれまでの歩みだと思います。
 私は神戸市役所に入ってくる皆さんにこういうことをご紹介しながら、神戸というのはどういうまちなのかといいますと、開港して、新しいものをどんどん取り入れて、自分たちの中に咀嚼して、新しいものを開発していきながら進取の気風に富んだ市民性を育んできました。海外からたくさんの外国の方が神戸に移り住んできて、違う国籍、違う民族、違う文化的背景、違う宗教の人たちが一緒に住む、そういう市民性を育んできたのが神戸です。しかしそれだけではなく、戦災や震災という苦難を乗り越えてきたのも神戸の歩みであり、市民が助け合って、行政とも手を携えて乗り越えてきたのが神戸ではないでしょうか。海があって山があっておしゃれな街並みが広がっているというだけではなくて、まちの魅力と人の魅力が分かちがたく結びついているというのが私たちのまちではないか、これまでの神戸の歩みというものを大切にして、未来に向けてしっかり仕事をしていきましょうということを若手の皆さんには伝えています。

神戸の人口減少と、その要因

 さて、そういう未来に対する非常に熱い情熱を持ちながらも、今起きていることを冷静に客観的にしっかりと受け止めて対応を考えなければいけません。大都市の経営を考えるうえで大事なのはやはり人口です。残念なことに神戸の人口は平成23年までは辛うじてプラスだったのです。ところがそこから後はマイナスということが続いてきました。人口の増減はまず自然増減があります。生まれる赤ちゃんと亡くなられる方の差ですね。それから社会増減、外から入ってくる人と出ていく人の差ですね。この二つの差によって決まっていきます。自然減はどんどん拡大してきていますし、これからも拡大していくのはまず間違いない。社会増減は以前はかなりたくさんの人が神戸に入ってきたのですが、最近はマイナスになる年もあるということで、神戸市の人口は明らかに減少傾向になっています。
 区ごとに見ますと、長田区は自然減はかなりありますが、社会増は若干のプラスになっています。北区、須磨区、垂水区、西区は両方ともマイナスです。兵庫区は最近転入の増加が目立ってきている。圧倒的に人口を集めているのは中央区で、それから灘区、東灘区に人口が集まっています。それと、生まれる赤ちゃんの数は大体横ばいでしたが、平成23年くらいからマイナスになってきています。亡くなられる方はずっと増えています。それで自然減ということになっています。
 それから、ほかの自治体との比較ではどうなっているかですが、2000年では、神戸には大阪と西日本から入ってくる人口が多かった。周辺都市からも神戸にどんどん入ってきていました。一方東日本にはかなり出て行っていて東京都には約1000人弱が出て行っていました。これが2017年には西日本からはかなり入ってきていますし、兵庫県内からもかなり入ってきていますが、東京都には1770人の方が出て行ってしまっている。大阪からは入ってきていたのが逆に大阪市に864人も出て行っている。これは決して好ましいことではないですが、このような現象が起きているということを我々はしっかり認識する必要があると思います。
 そういうことを考えたときに、神戸は素晴らしいまちなんだけれども、もっとすばらしいまちにしていかなければいけない。そういうことで「神戸2020ビジョン」を策定し、神戸をさらに、もう1回輝かせよう、もっと人が集まってくるようなまちにしよう、さらなる高みに押し上げていこうという考え方でいろんな施策を展開しています。今日は主に陸海空のインフラ整備の話と、まちづくりの話、子ども・子育てや地域の安全などの話をさせていただきたいと思います。
 神戸が残念ながら人口減少になってきた要因は神戸だけの事情で説明できるものではありません。大多数の自治体が人口減少なのですが、東京にどんどん集まって行っているわけです。東京近辺の所は人口が増えています。特に増えているのは川崎市で、横浜は川崎ほど増えていません。他にも、ブロックの中心都市は人口が増えています。つまり福岡、札幌、仙台、広島という各都市が増えています。福岡市には九州中から人口が集まってきます。その周辺の都市は人口がマイナスになります。福岡のすぐ近くにある北九州市はかなり人口が減っています。大阪ももちろん人口が増えています。大阪の近くの堺は人口が減っています。神戸もそうですね。神戸は東京近辺でもなく、ブロックの中心都市でもないということで人口が減っています。
 もうひとつは、やはり残念ながら震災の影響はあったかと思います。突然の震災への対応の後、まちを復興させなければいけない。そのためのお金は、かつて山を削って海を埋め立てて、神戸市にはかなりの基金がありました。これを震災復興にかなりつぎ込みました。しかしそれでも足りなかったから神戸は借金をせざるを得ませんでした。そうして借金がすぐに返せないような状況になりました。財政危機です。財政を再建をするために、神戸市はどんどん職員を減らしていったわけです。震災の年に2万1728人いた職員が、平成28年度には1万4428人、今はもっと減って1万4000人くらいになっています。20年間で33%減らしました。この33%減らしたというのは、全国の地方公務員の減少ペースの倍の速さです。こういうことをしなければ、夕張のような財政再建団体になっていたのです。
 しかし、残念なことにこの過程で新しいことにはなかなか取り組むことができませんでした。まちづくりに取り組むことができなかったということです。ですから先ほどの人口減少の中で、神戸をもう1回発展させるためには、もし震災がなかったら取り組まなければいけなかった事業、震災がなかったら取り組むことができた事業、こういうことをかなりのスピード感を持ってやらないといけないと思っています。

陸海空の交通結節機能を拡大させる

 そのひとつが陸海空のインフラ整備です。神戸がどうしてここまで発展してきたかを考えたときに、まず港があった。次に鉄道が開通した。戦後は新幹線ができ、高速道路もできた。そして13年前に神戸空港もできた。陸海空の交通の拠点だから神戸は発展してきたわけです。だから、神戸をもう1回発展させるためにはまず港を整備しなければいけない。広域幹線道路を整備しなければいけない。神戸空港をしっかりともっと利活用できるようにしなければいけない。陸海空の交通結節機能というものをどうやって拡大していくのかということが大変重要です。
 その切り札となるのが大阪湾岸道路です。今、阪神高速道路3号線は慢性的に渋滞しています。これは日本で一番渋滞しているところです。渋滞を緩和するためにずっと以前から議論されていたのが大阪湾岸道路の西伸部の延伸です。これは、関西空港から大阪湾に沿って北上してきた大阪湾岸道路5号線が六甲アイランドで行き止まりになっているのですがこれを伸ばしていこうということで検討されてきました。しかし、先ほど申し上げたような財政再建のためにこれを実現できませんでした。そして、平成28年度に事業化が決定しまして、六甲アイランドからポートアイランド、ポートアイランドから和田岬に橋をかけて駒栄につなぐという事業がいよいよ今年から本格的に工事を進めていくということになり、大体10年前後で完成したいと思っています。もう一つは神戸西バイパスの話ですけれども、今くらいのペースならば150年かかると言われているところを、有料道路事業も入れてできるだけ早くやっていきたいと思っています。
 神戸空港は長い長い経緯がありまして、宮崎辰雄市長の時に、運輸省から神戸沖に空港を造ったらどうですかと言われて、神戸市民の間で意見が真っ二つに分かれました。賛成をする砂田重民氏と反対をする宮崎市長との間で激しい選挙戦が行われまして、宮崎市長が勝ちました。そして神戸は運輸省からの提案を受け入れない。神戸沖に空港は作らない。やや複雑な経緯がありますが、そういうことで今の関西国際空港が開港したわけです。そのことで神戸には空港の選択肢はなくなったのですが、宮崎市長はあきらめずに、運輸省に行ってもけんもほろろの対応を受けながらも、今の神戸空港建設へ舵を切ったわけです。神戸市会からも建設反対決議というのが一時はあったわけですけれども、一転、空港建設推進議決が行われ、そして今の神戸空港ができたのです。
 そういう経緯を考えると、神戸空港に対する周囲の視線がものすごく冷たいということは仕方がないことです。関西国際空港よりも神戸の方が便利です。三宮にも大阪にも近い。国としては神戸に空港ができればよかったのです。でもそれを断って、関西国際空港ができた。その後に神戸空港はできた。後からできたから関西国際空港の邪魔はできない。伊丹空港は騒音訴訟で大変でした。それが、主な飛行機がジャンボジェットから小さくなって、騒音も少なくなった。伊丹は空港を核にして成長しようという風に時代が変わった。関西には関西国際空港と伊丹の大阪国際空港と神戸空港がある。先ほど申し上げたような経緯で一番最後に出来た神戸空港は関西国際空港と伊丹空港の邪魔をしないということが求められています。
 そして、規制を課せられることになりました。せっかく海上空港で24時間飛べるのに、朝の7時から午後10時まで、1日30便までしか飛んではいけない。どうしてこういう規則が課せられるかというと、3つの空港が競合しているからです。ですからこれを撤廃をするためにどうするかというと、競争競合関係を解消するということです。3つの空港を一体運用することが必要です。それがようやく実現することになりました。
 神戸空港は今まで神戸市が管理してきたのですが、この4月から、関西エアポート神戸株式会社が管理することになります。関西エアポートは関西国際空港と伊丹空港を管理しています。その子会社が神戸空港を管理することになりました。まさに一つの事業主体が実質3つの空港を管理することになると、競争競合関係は解消することになりますから、規制が外れてくる弾みになります。これは必ず実現したいと思っております。そうすることで神戸空港は大きく活用の幅が広がっていくことになっていくと思います。
 そして大阪湾岸道路が伸びる。つい1週間ほど前には新名神高速道路が川西と神戸の間で開通しました。高速道路が北の方も出来て、大阪湾岸道路もできる。神戸西バイパスもできる。空港が活性化する。そうすると、神戸周辺からの東西南北の人とモノの流れが大きく変わっていくことになります。是非こういう形で神戸をもう一度元気にしたいと思います。

神戸全体を考えたまちづくりと交通対策

 三宮の開発を進めていますが、三宮の開発の中で作りたいと思っているのがバスターミナルです。バスターミナルを作る理由は、今、三宮駅前にはたくさんのバス停留所があります。ミントのバスターミナルと高架下のバスターミナル。停留所が分散しています。これを集約してバスターミナルを作りたい。新宿にバスタという大きなバスターミナルができましたが、これに匹敵するような大きなバスターミナルを作って、西日本最大級のものにし、三宮から西日本の山陰に、明石海峡大橋を通って淡路島へ、四国へとバスがどんどん出発していく。そうして神戸がバスの西日本の拠点になるようにしていきたいと思っています。
 そういう風な大きなまちづくりをしていかなければいけないのですが、実際に地域で起きていることにもしっかり目を向けなければなりません。神戸のまちづくりは昭和30年代40年代に山を削って海を埋め立て、ニュータウンをどんどん作っていきました。これがだんだん老朽化してきている。空き家空き地がニュータウンでも既成市街地でも増えてきている。神戸で人口が減少している一つの原因は、神戸のまちの成り立ちとも関係があります。神戸は戦後焼け野原からどんどん発展していきました。でも、計画的に住宅ができたわけではありません。特に昭和20年代から30年代にかけては、割合に無秩序に住宅が建設されていきました。神戸の山麓部、つまり長田区、兵庫区、須磨区、垂水区などですが、山麓部にどんどん道が細くて本来ならば住宅が建たないようなところに住宅が建った。当時は都市計画法による規制も緩やかですからどんどん住宅が建っていったわけです。
 そういう無秩序な住宅建設は、昭和40年代の都市計画法で市街化区域と市街化調整区域の線引きが行われるまで続くことになりました。そういうような住宅がどんどん老朽化して、空家になって、老朽危険家屋になっている。そういうところから人口が流出しているという面もあります。そういうところについては、まだまだ使える家は使っていく。空家をどういう風に活用するのかということを考えるのと、空地も増えているので活用支援もやっていく。残念ながら古くて危ないものは解体する。そういうことを積極的にやっていくために、この4月から新しい年度に入りますが空家空地活用課というのを作って、さらに危ない家屋の解体も進めていきたいと考えています。
 三宮の再開発ということだけではなく、神戸全体を考えたまちづくりということをやっていこうということで、鈴蘭台、湊川、西神山手線の西神中央、ここに新しい庁舎を作ります。やはり人口減少の時代ですから便利なところにマンションを作って人口を張り付けていくということを考えていきたいと思っています。もう1つはやはり交通対策です。地域コミュニティの支援、特にコミュニティバスというものを市内のあちこちに走らせることはできないかどうか、長田区や兵庫区でもそういうことを考えたいと思っています。婦人会の会合に行ったら「バスの路線を延伸してほしい」「停留所を増やしてほしい」「終バスの時間を遅くしてほしい」と必ず言われるのですが、残念なことに、バスに乗ると他にお客さんはあまり乗っていません。大きいバスを狭い道で走らせるというやり方はもうそろそろ限界にきています。
 残念ながら神戸市の交通局のバス事業は大赤字です。これは特定の路線名は言えませんが、ひとつの路線で年間1億円の赤字を出しているのです。ということは、民間バスならとっくに撤退しているし、そもそも初めからそんなバス路線は運行しないかもしれません。交通局のバス事業はやめるわけにはいきません。現実に乗られる方もいらっしゃるわけですから、ここは小さなコミュニティバスというものに変えていくということを考えないといけません。灘区の方に行かれたら「坂バス」というものに乗られたかもしれません。東灘区には「くるくるバス」というものが走っておりまして、こういうタイプのものを例えば北区の農村地域には導入しています。もうひとつは、タクシーを利用したコミュニティバス「しおかぜ」を垂水区塩屋で始めました。これらを市内に広げて、住民の皆さんの足を確保するというのが非常に重要と考えています。

くらしの安全を守る

 神戸に人口を呼び戻していくためにはやはり町の安全が非常に重要と思っています。安心して住めるということが非常に大事ですね。人口1000人当たりの犯罪発生率というのがありまして、日本は世界の中でも際立って安全な国です。その安全な日本の中でも差がありまして、大都市で犯罪発生率にかなりの差があります。今日はデータを持ってきませんでしたが、際立って悪いのは大阪です。大阪はやはり治安が悪いのですが、ただし誤解のない様に申し上げておきますが諸外国と比べたらきわめて安全です。神戸はどのあたりかというと、大体真ん中くらい、全国平均くらいです。しかし、これをより安全なまちにしていかなければいけない。ということで、防犯カメラの設置をしていかなければいけないのではないかと思います。
 私が市長に就任した時の防犯カメラの予算は340万円だったのですが、これを5000万円に大幅に増やしました。おそらく長田でも防犯カメラの設置というのはかなり増えていると思います。地域の防犯カメラ、自治会で管理していただいている防犯カメラの予算もかなり増えたのですが、その他にも保育所、幼稚園、児童館、小学校、中学校については既にすべて防犯カメラの設置が完了します。こういう形で防犯カメラがすべての問題を解決するわけではありませんが、犯罪の抑止にかなりの力を発揮するというのは事実です。
 平成25年には119台しかなかったのが、平成30年度予算では2700台ということで飛躍的に増えているということです。もうひとつは、特に若手の皆さんと意見交換した時に「街が暗い」というのです。特に兵庫区と長田区の既成市街地、道が細いエリアです。そこで私も去年の夏ごろに長田区を地域の皆さんと一緒に歩いて、どういうところが街が暗いのかチェックをしました。また、これはそれぞれの判断だと思いますが、できるだけ門燈を付けていただくということで街を明るくするのも非常に必要なことではないかと感じています。
 暮らしの安全ということを考えたときに長田の方はあまり関係がないかもしれませんが、ヒアリが見つかりました。ものすごく危ないアリです。この対策もしっかり取ってきました。ヒアリがどういう風に入ってくるかというと、外国から来る荷物についてくるのです。昔と違ってコンテナはそのまま陸揚げしてトレーラーで運ぶわけですから、ヒアリがついていた荷物がそのまま入ったら容易に拡散することになりますのでヒアリ対策もしっかりやっていきたいと思います。そういうことでまちの安全につなげていこうと考えています。

子育てしやすい環境の整備と学校教育の充実

 次に申し上げたいのは子育てのことです。先ほど北山先生から子育て日本一のまちを目指せとあったのですが、そのためにやはりいろんなことをやっていかなければいけません。子育ての関係では保育所に入ることができるように保育所を増やしていかなければいけないのですが、その時にただ単に保育所を増やすだけでは十分ではありません。今は人手不足の時代ですから、保育士になっていただく人を増やさないといけないので、保育士の給料が全職種に比べてかなり低く、神戸の場合には勤続年数が短いという問題もあります。保育士の待遇を改善しなければいけないということで、ほかの自治体と比べても相当思い切った処置ですけれども、定着をしていただくために一時金を支給することにしました。5年で最大100万円を支給、新しく保育士になった方には2年間で最大40万円を支給、いったん保育士を辞めた方が復職する場合には10万円を支給することにより、保育士を確保したいと思います。この部分についてはかなり予算を拡充することにしました。
 子供が遊べる場所を作ろうということで、公園でも子供が遊べる遊具を置いたり、子供が遊べる拠点「こべっこランド」をもっと増やしていこうということで子育てをしやすくする施策をよりきめ細かくやっていこうと思っています。小さなことですが、子供さんを送り迎えする若い女性の乗るママチャリは幅が広いので、幅が広い駐輪場を初めて今年度導入することにしまして、これをもっと拡げていきたい。こういうきめ細かいこともしっかりやっていきたいと思っています。
 長田にも昔と比べたら大分少なくなりましたが、銭湯に親子で入ってもらうというのは非常に大事で、子供さんは1週間に1回は無料にするということもやっていきたいと思っています。もうひとつは、小中学生の学力です。北山先生からは教育日本一のまちを目指せということだったのですが、現状はどうなっているのでしょうか。学力だけが学校の教育ではありません。きちんと社会のルールを守ってもらうしつけも大事ですし、学力も大事です。学力をしっかりと身に付けることができるようにするということを考えたときにどういうバロメーターがあるのかというと、文部科学省が行っている全国学力テストというのがあります。これの平均点をランキングを付けて一喜一憂するというのはあんまり好ましいことではありません。これも一つの指標、バロメーターです。今までは文部科学省は学力テストの結果は都道府県単位でしか発表していなかったんです。神戸市の学力テストの結果がわかるので全国のどのあたりに位置するのは分かるようになりました。
 さらに文部科学省は去年から政令指定都市の学力テスト結果を発表するようになりました。そうすると、神戸の小学校6年生はどうだったか。トップは新潟市で67.0点。神戸は残念ながら15番目なのです。中学校はどうかというと、トップは仙台市69.5点。神戸は4位なんです。中学生はかなり高い。小学生は残念ながら低い。こういうことがはっきりわかります。学力がすべてではないし学力テストですべてが測れるわけでもないのですが、こういう傾向というのはずっとそうなんです。ですからやっぱり小学校で先生方に学力が身に付くように頑張っていただきたい。
 ただ、私の立場から頑張ってくれ頑張ってくれというだけでは十分ではありません。どうすればそれが実現できるのかを考えると、今特に力を入れているのは先生方が忙しすぎるということです。とにかく朝から晩まで忙しい。その先生方の仕事をどうやって減らしていくのか、どういう対策をしていくのかということです。特に教頭先生は忙しく、教頭先生になりたいという先生がいない状態です。女性の先生方が増えていますが、女性で教頭先生になりたいという方は1%しかおりません。これでは困るので、教頭先生を補助するスタッフを平成29年度から配置しました。それ以外にも事務仕事をできるだけ減らしていきます。給食費とかいろんなお金を集めてそれをチェックするみたいな仕事は、教育委員会が集中的にやるという風にしていかなければいけません。また、賛否両論ありますが英語の授業が始まりますから、こういうことをやる先生方を配置するということをぜひやっていきたいと思っています。

市街地西部地域を元気にするために

 やはりバランスのとれたまちづくりをしていくということでは、長田のまちがどうなっていくのかというのは非常に大事ですね。長田はとにかく震災で大きな被害を受けたまちですからいろんな取り組みをしてきました。長田を元気にするためのいろんなことをやっていこうということで、新長田の再開発地区に県・市協調の合同庁舎の建設が去年着工しまして、来年7月に供用開始されることになります。神戸市の各市税事務所はここに集約させることを考えていまして、神戸市役所に主税部という税を扱っている部署があるのですがこれもここに移ります。もちろん各区役所には相談窓口を作って、例えばテレビ電話では新長田の合同庁舎と相談できるようにしますし、兵庫県の県税事務所もここに移ってきます。すると、全国で初めて県の税事務所と市の税事務所が同居するということになりますから、ここで税関係の手続きが終わることになります。
 神戸市と兵庫県と合わせて約1000人の職員がここに入ってくるということになります。今新長田の再開発地区に働いておられる方は3500人くらいですが、震災前は4900人くらいだったと言われています。新長田の再開発地区の居住人口は震災前に比べて大きく増えましたが、働いている人は減っているわけです。今の3500人の就業人口に約1000人が上乗せされる。そしてこういう形で合同庁舎ができますと、職員の他に庁舎に用事でいらっしゃる方もいるし、出入りする業者さんもいる。そういうことになると、来る人はものすごく増えますから新たに商売をする方が出てきますし、市税と県税が入るわけですから、税理士さんとか社会保険労務士さん、行政書士さんが再開発ビルの中に入居したいということになっています。新長田については駅前、これをリニューアルしてバス停留所をきちんと整備することができないか、それから西神山手線から地下道を通って国道2号線の方に行く通路があるのですが、まだまだ改善するところがあります。全体的に暗いですし、昔からあまり雰囲気も変わっていない。もっときれいに明るくしていきたい。そういう形で新長田再開発ビルの空いているところも埋まるように全力を尽くしていきたいと思っています。
 さっき申し上げた通り、空家空地対策は長田では特に重要です。空家の割合は神戸市全体では13%ですが、長田区は18%にのぼっています。こういうものを長田では特に力を入れないといけません。危ない空家は取り除いていかないといけません。海岸線沿線は去年も申しあげましたが中学生は完全に無料ということになっています。もっと子供たちにも子育て世代の皆さんにも海岸線に乗っていただく。そして海岸線沿線をとにかく元気にしていくことです。
 これは兵庫区と長田区の南部をどうするのかということにかかわるのですが、まず兵庫区の方ではノエビアスタジアムを全国で初めてのハイブリット芝にしました。いままでの天然芝ではものすごく芝生が荒れます。ヴィッセル神戸の方からも何とかして欲しいと言われていて、これを去年から今年にかけてハイブリット芝にしました。楽天さんの方でスタジアムの改修なども行って、ここでサッカーと、来年はラグビーワールドカップも行われるわけです。コンサートももっとできるようにして、お客さんにもっともっと来てもらうようにします。兵庫区の南の方では中央卸売市場の向かいにイオンが開店しました。イオンの近くの兵庫運河も今プロムナード化して、ここももっとお客さんが来てくれるようにしたいと思いますし、中部処理場跡地には、今はハーバーランドにある神戸市こども家庭センターを移転する。そうすると子育て世代の方が海岸線に乗ってこども家庭センターにも来ていただけるということになるわけです。
 産業振興という面では長田は元々ケミカルシューズなど、ものづくりの中心でしたから外からも企業を呼んで来ようということで、東京から新たに企業を移転した場合に補助をする制度を作って、アディダス フットウエア ラボという開発拠点が来てくれたりしています。海岸線では駒ヶ林などを中心に外から移り住んでくるアーティストの皆さんがいます。こういう方にもっともっと活躍していただいて、もっともっと交流人口を増やしてもらうような努力をします。それから新長田の下町芸術祭なども行われていますから、こういう形での魅力を発信していきます。また、市街地西部芸術祭というのを31年度には開催したいと思っておりまして、賑わい作りにも役立つようにしていきたいと思っています。
 それからこれはまだ検討段階なのですが、岡方倶楽部、それから旧駒ヶ林保育所、こういうものを修復して活用できないかということです。神戸は大空襲と震災で貴重な戦前からの建物が失われました。これが京都と全然違うところで、大阪も空襲を受けましたけれども、中央公会堂など戦前からの非常にいい建物がかなり残されています。そしてそれが民間によるものなのですが内部をかなり改修したりして使われています。京都は豊臣秀吉の頃から大きな地震はありませんし空襲もありませんでしたからそれこそ文化遺産の宝庫です。いい建物がたくさんあります。神戸はそういう物の大部分が失われたのですが、遺された数少ないものを大事にしていかないといけません。東の方では御影公会堂がそうです。御影公会堂も空襲と震災で非常に大きな被害を受けましたが、本格的な修復を2年前に行って見違えるようになりました。神戸市の西部ではそれに相当するのが兵庫区の岡方倶楽部と旧駒ヶ林保育所です。一見するとなんでもない建物に見えますが、昭和の初めに建てられた非常に貴重な建物です。下町芸術祭の会場にもなっています。こういうものをきれいに改修していろんな形で使って、地元の皆さんにも使っていただいて、外からも来ていただいていろんな展覧会やコンサートなどのイベントに使ってもらえないかと今考えています。

持続可能な神戸の都市経営

 一方でやはり財政状況も考えていかなければいけません。日本全体の話ですが、国民総生産に占める借金の割合です。例えばギリシャは破たん国家などと呼ばれますが、借金が国民総生産の1.8倍あります。日本はもっと悪くて2.4倍あります。こういうことを考えたらやはり何でもかんでもやったらいいということではありません。将来は現役世代がどんどん減っていきますから、なるべくツケを残さない形で政策を展開していかなければいけません。これは国も地方自治体も同じです。震災がなければやれたはずのことをスピィーディにやっていかなければいけませんが、やはり将来にツケを残さないような形で政策を取捨選択して、ものによっては市民の皆様に申し訳ありませんが新たな負担をお願いしながら持続可能な形で神戸の都市経営をやっていきたいと考えています。私の話はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

−会場からの質疑−

 【質問】JR新長田駅の快速停車と東口設置のことですが、商店街としましては東口の改札口だけでもできないかと考えています。合同庁舎が新長田に出来るということでこれは大きな変化でして、商店街も3年計画で去年から活性化についてずっとやっているのですが、その中にやはり約1,000人の職員が来られるし来庁者も多いということでいかに新長田の商店街が職員や来庁者の方々をおもてなしするかということを絶えず考えています。ですので、ハード面を、東口だけでもなんとかできないかということをお願いしておきたいと思います。
 【久元市長】新長田駅の快速の話と東口の話は言わなかったら怒られるかなと思っていました。ただ、これはできないことをできるように話すこともできませんので正直にお話しますと、JR西日本との話し合いが進んでいるわけではありません。これはやはりそう簡単ではないと思います。ですがやれることをしっかりやっていくということで、合同庁舎が出来たら当然JR新長田駅を使う人が増えるというのは間違いがありません。それだけではなく、あの周辺の整備もやっていこうということで、動線の改善とか駅前広場の検討等をやっていく中で、東口の可能性ということも探っていきたいと思っています。ちょっと時間をいただければと思います。快速の停車は駅の構造をかなり変えないといけませんから、これはそう簡単ではありませんけれども、可能性としてはないわけではないという考え方を取るということです。やれることをしっかりやって、お客さんを増やして、それを機にJR西日本と折衝するということにしていきたいと思っています。頭の中にないわけでは決してなくて、むしろありすぎるから言えなかったとご理解いただければと思います。
 【質問】数年前から神戸市の観光ガイドをさせてもらっています。観光の場合、一番問題なのは兵庫運河です。これは世界一のものでベニスに負けない観光都市の目玉になると思います。運河ですが、今は海が非常にきれいになりまして真珠の養殖もしていますし、ボラが沢山泳いでいます。観光の目玉として活用してはどうでしょうか。
 【久元市長】兵庫県が県政150年記念事業としてあそこに初代県庁を復元させた記念館を作りたいというふうにいっておりまして、これは県が作るものですが、県からもいろんな相談があると思いますので、そういう中で今お話に出されたようなことが可能なのかどうか、相談してみたいと思います。
 【質問】苅藻島の木材団地の中におります者ですが、湾岸が近くを通るわけで興味があるのと、港の方ではマリーナの整備をはかっていきたいと思っておりますので、一つよろしくお願いいたします。
 【久元市長】兵庫運河は割としょっちゅう行って先ほどのボラが泳いでいるのも知っていますけれども、苅藻島の方はしばらく行っておりませんので、マリーナの不法係留もないということですから、また見せていただきたいと思います。


 
     
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